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 電話加入権の会計処理と評価損の計上

 

1. 電話加入権とは

そもそも電話加入権とは何でしょうか?会社の決算書に無形固定資産として電話加入権が計上されています。
60年前に日本電信電話公社発足し当時は電話債券として高額な債権を買った人だけが電話を引けた時代だったと思います。
私が子供の頃、テレビで「1000万円の電話債券が当る!」と言った商品購入の懸賞があったことを記憶しています。
当初の債券額は最低60,000円、今の貨幣価値にすれば100万円以上でしょうね。その後金額が改定されNTTの電話加入権は72800円の時代が長く続きました。平成17年3月に金額を37,800円に改定。ほぼ半額になりまして、今にいたっています。


2. 電話加入権って必要でしょうか?

わが事務所でも電話回線は3本あります。1本は光電話で、2本はISDN回線で、ターミナルアダプターをNTTさんから借りて使っています。
さらにIナンバーという契約をして電話番号をもう1つ使っています。つまり事務所の電話番号で2回線が話し中にならずに使えます。そしてFAX専用番号でFAXを受け、これをパソコンにつないで受信はパソコン(必要なもののみを印刷します)、FAX送信はパソコンまたは市販の数万円の家庭用FAX機で十分ことたりてます。ただしFAX使用時は、電話が1回線しか使えないため電話が2本ふさがると話し中になってしまいます。そのため前記の光電話で発信すればまず電話がふさがることはありません。
この光電話とISDN回線に変えてしまったことで電話加入権は不要になってしまいました。20年ほど前に72800円で買った電話加入権2回線分の代金145600円を返して欲しいぐらいです。
以前NTTに電話で聞いたら、NTTでは買取はしていないとのことでした。


3. ビジネスフォンは必要でしょうか?
わが事務所のような、小さなところ7名ほどの人数ではまったく必要ありません。ビジネスフォンですとリースで月額1万円以上します。長い期間のリース契約が多いので60万円以上の電話機を使っていることになっています。上手に工夫して使えば家電量販店やネットショップで3万円も出せば性能の良い電話器が買えます。つまり10分の1のコストで快適に通信業務が出来ます。


4. 電話加入権の会計処理
電話加入権は今でも「非減価償却資産」に該当します。つまり新規で購入すれば会社の貸借対照表の資産の部に計上する必要があります。
今は1回線につき37800円ですが、「ごろ」のいい番号 052-302-1111 とか302-5555などはプレミアがついて売ってますので買った金額で計上することになります。
会社で以前に20回線を72800円で購入していれば、145万円もの金額が電話加入権として資産に計上されているままです。
大企業では減損会計の対象となるため、簿価を適正な時価に引き下げる必要があります。少額ならまだしも大企業ほどたくさんの回線を持っています。したがって電話加入権の時価が5000円なら1回線につき67800円の評価減が行われていくことになります。将来に日本もIFRS国際財務報告基準書を導入すれば適正な時価評価はあたりまえになると思います。しかし大企業も税金の申告上はこの評価減は認められていません。


5. 電話加入権の評価損の税法上の取り扱い
法人税では資産の評価損の判定の単位を次のように規定しています。
法人がその有する資産について法第33条第2項《資産の評価換えによる評価損の損金算入》の規定による評価損を計上した場合において、その評価損の額の是否認の額を計算する単位は、次に掲げる資産についてはおおむね次の区分によるものとし、その他の資産についてはこれらに準ずる合理的な基準によるものとする。(平15年課法2−7「二十二」、平17年課法2−14「九」、平21年課法2−5「七」により改正)

(1) 土地等(土地の上に存する権利を含む。) 一筆(一体として事業の用に供される一団の土地等にあっては、その一団の土地等)ごと
(2) 建物 一棟(建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物にあっては、同法第2条第1項に規定する建物の部分)ごと
(3) 電話加入権(特殊な番号に係る電話加入権を除く。) 電話局の異なるものごと
(4) 棚卸資産 種類等の異なるものごと、かつ、令第68条第1項《資産の評価損の計上ができる事実》に規定する事実の異なるものごと
(5) 有価証券 銘柄ごと
つまり税法では電話加入権は評価損が計上できる資産として規定しています。
また法人税法の施行令では資産の評価損の計上ができる事実として次のような例を上げています。
第六十八条  法第三十三条第二項 (特定の事実が生じた場合の資産の評価損の損金算入)に規定する政令で定める事実は、物損等の事実(次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める事実であって、当該事実が生じたことにより当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなったものをいう。)及び法的整理の事実(更生手続における評定が行われることに準ずる特別の事実をいう。)とする。
固定資産(電話加入権もこれに該当するはずです) 次に掲げる事実
イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。<無形の権利なのでありえへん>
ロ 当該資産が一年以上にわたり遊休状態にあること。<使って以上難しい>
ハ 当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと。<資産の性質上ありえない>
ニ 当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと。<意味がわからない>
ホ イからニまでに準ずる特別の事実<なんのことか意味がわからない>
つまり法人税法の上では、電話加入権の評価損を無条件には認めておらず。NTTが倒産したりしなければ無理!

6. 税法上、電話加入権の評価損を認めない訳
NTTの電話加入権の数は、全国6000万件とも言われています。金額にすると4兆円を超えてしまいます。
これを国民や企業が返してくれと言い出すと大変な事になってしまいます。現にNTTを相手取って、電話加入権集団訴訟を起こしている団体も多くあるようです。連結決算で10兆円のNTTグループが4兆円もの電話加入権の返還に応じれば、すぐに倒産してしまいます。
NTTにとって電話加入権集団訴訟の対策としても電話加入権の価値は永久に必要です。
また日本(国家の税収)で考えた場合、税法上、電話加入権の評価損を認めてしまうと大変な税収減になってしまいます。
たとえば企業・個人商店が、NTTの電話加入権の半分、3000万件を持っていたとしますと約2兆円もの評価減が認められることなり、法人税・所得税・住民税等で1兆円近い税収減になってしまいます。
政府がそんな損をするような税制改正を断行するとは思えません。したがって電話加入権の価格が72800円から、平成17年3月に37,800円に改定されてから6年たった今でも税制は変わっていません。


7. 電話加入権の評価損が出来ないなら
電話加入権の評価損が出来ないなら、いったん電話加入権を売却します。すぐに安い電話加入権を購入すれば評価損ではなく売却損なので法人税の計算では損失が確定でき、節税できます。先日、これを商売に繋げようとする業者の方からのご提案もありました。
しかし手続きが面倒で、正直いって中小企業では大した節税になりません。大企業は、社会的な責任と財界・政界等々のしがらみからそんなみっともない姑息なことはやらないでしょう。
したがって個人的にはまだしばらくは、電話加入権の評価損は認められないんじゃないかな?と思っています。

 

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