いつもお世話になっております。今月号の事務所だよりをお届けしますので、ご査収下さいますようお願い申しあげます。
会社に100万円の現金を残すには!
経営者の皆さんが、もし会社に毎期100万円、(規模が大きくなれば1000万円)の現金を残したいと思い、これを20年続ければ2,000万円、(または2億円)の手持ち現金を持った優良企業になるでしょう。
この状態になれば、その後、仮に500万円の赤字が4年続いても会社は大丈夫です。
しかし計算上は、100万円の現金を会社に残すためには50万円以上の法人税の納税が必要です。
1.会社に100万円の現金を残すには? A・Bの2社の第5期の決算を例に考えてみます。
A社(石橋をたたいても渡らない会社)
土地・建物は、賃貸物件(社長個人所有含む)・投資有価証券、会員権、積立保険金なし・所有車両がたりないぐらいの経営
A社の決算
第5期 売上 5,000万円 経費 4,800万円 利益 200万円
・・全て現金売上収入 ・・・全て現金支払いの経費 ・・・決算日で手元に200万円の現金がある 無借金経営 ・・・法人税現金支払い70万円 ・・・・・・・・会社に現金が130万円残せました。
法人税 70万円
処分可能利益 130万円 B社(ハイリスク・ハイリターンを望む会社)
土地・建物は、借入で購入・投資有価証券、会員権、積立保険金を多く所有・余剰車両、余剰設備がある・在庫が多い
B社の決算
第5期 売上 5,000万円 経費 4,800万円 利益 200万円
・・現金売上収入 4,000万円 売掛残(未回収)1,000万円 ・・・全て現金支払いの経費・ ・・決算日で手元に200万円の現金は無く反対に(売掛残1,000万円 − 利益200万円=800万円)借入れが800万円増加しました。 ・・・法人税現金支払い70万円 さらに借入れが70万円増加・・・会社に現金が残らず 借入れが870万円増加しました。
法人税 70万円
処分可能利益 130万円
上記以外に 土地建物購入の借入金5000万円・設備等の借入金5000万円が残ってます。
A社とB社の損益計算は、全く同じです。しかしキャッシュ(現金)はA社にあってもB社にはありません。
勘定合って銭残らず、皆さんはどのように考えられますか?広げすぎた屏風は不安定です。もしB社が今までに、
あるいは今後、節税のための多額の投資・または事業拡大のため利益を圧縮しすぎた時期があれば非常に危険です。
実際の会社経営では、売掛金・受取手形・前払い費用・保証金・設備投資・在庫等々に現金が形を変え、また買掛金・
未払費用・支払手形・借入れ金・未払税金等々が手持ち現金の増加をもたらし、非常に複雑になっています。やはり
健全な経営は、これらのバランスと自己資本比率・流動比率の充実だと思います。
キャッシュフローのみに、こだわっていては戦略的な経営は出来ません。しかし過大な投資は背水の陣のような経営を何度も繰り返すことになりかねません。
自己資本の部の充実、このためには実効税率40%前後の法人税の納税は必要です。自己資本の部が充実していれば、借り入れの金利も低くなったり、さらに進めば無借金経営の企業にもなりえます。
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