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(NO. 5)  税務調査  医療法人 非常勤役員 過大役員報酬

 

 

富士宮市郊外にあるフジクリニックは医院とその隣にりっぱなお屋敷がある。

大きな庭石、きれいに整えられた植木、庭だけで300坪以上はある。院長は江戸時代から

続く薬師の家系の4代目。庭にはコーギーが2匹走り回っていた。


家族は院長、きれいな奥さん、院長の母親、小学生のこども2人の5人家族。



(調査官)
「先生!」


「はい!」二人の先生が同時に返事をした。税理士先生と院長先生がいるため紛らわしい。

「すみません税理士先生のほうです」

「院長のお母さんに月額30万円の役員報酬が出ていますね、具体的にはお母さんは何を

なさっているんでしょうか?」

(税理士)
「お母さんは医療法人の役員として仕事をして見えます」

(調査官)
「院長先生、具体的にはお母さんは何をなさっているんでしょうか?」

(斉藤院長)
「それは色々と雑用がありまして、たとえば銀行へ行ったり、看護師、事務員の手配を・・・」


そのとき院長の母親が事務員さんの車に乗せてもらい帰ってきた。


(調査官)
「こんにちは!富士宮税務署の者ですが」調査官は母親に声をかけたが返事がない。

やや痴呆があるのかな?

「院長先生、母さんは、ほんとに看護師、事務員の手配をなさっているんでしょうか?」

(斉藤院長)
「・・・・・」

(調査官)
「院長の奥さんに月額80万円の役員報酬が出ていますよね」「こちらも具体的に何をなさっているんでしょうか?」

(斉藤院長)
「こちらは本当に色々と雑用がありまして、レセプトのチェックや給与計算、支払で銀行へ

行ったり、看護師、事務員の手配を・・・」

(調査官)
「給与計算は、税理士さんにお願いしてますよね、レセプト担当は事務員さんじゃなかった

ですか?」

(税理士)
「作業はそうですが、奥さんは総合的な管理をしてみえます。」「これは税理士の私が証明

しますよ。」

(調査官)
「先生、月額80万円の役員報酬は高くないですか?」


「これなら今日から私もやりたいですが?」

(税理士)
「そんなことはない!わたしは適正額と判断してますが」

斉藤院長の手前もあり、税理士は語気を荒げた

 

(調査官)

「先生、帳簿の交際費の中身ですが、日曜日ごとににファミレスなんかで食事をしていますね。

カード決済も多いが、現金支払いのときの領収書にお子様メニューが入っていますね。

カードの明細はないんですか?」



(税理士)
「そうでしたか?」

「斉藤先生、カードを使ったときの支払い明細があればお出しいただけますか?」

(斉藤院長)
「先生、支払い明細まで残してないですよ!」


「わたしは、税理士さんの指導がなかったんで、ほかってしまったと思いますよ」

(調査官)
「カードを使ったときの支払い明細がなければ、何時、どこで、何を使ったのか証明できない

じゃないですか!」


「それに日曜日は医院はお休みですよね斉藤先生!」

(斉藤院長)
「・・・・・」

(調査官)
税務調査官は、今回の調査で以下のような問題点を指摘した。

院長の奥さんに月額80万円もの高額な役員報酬が出ており、見合った仕事をしていない。

お母さんにいたっては月額30万円の役員報酬が出ているがまったく仕事をしていない。

役員である奥さんが中退金に加入している。

年に数回、庭師さんへの支払いが30万円ぐらいずつ出ている。

院長は医院の車として、1000万円を超えるベンツ、奥さんも700万円を超えるボルボの

ステーションワゴンに乗っている。

自宅の掃除、買い物、食事の支度のため近所のおばさんを頼み、看護師さんたちと同様に

給与を支払っていた。

どうするかの結論は、税務署の統括官(課長)と顧問税理士で煮詰めて行くことになった。

我々調査官は指摘するだけです。結論は統括官の仕事?かも・・・

今回の調査では、斉藤院長は顧問税理士にかなり不信感をいだいた様子だった。

プライドの高い町医者に対して、日頃から税理士の対応も甘かったのかもしれない

 

 

 

 




 

 

 

 

 

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