潟梶[マン工務店の税務調査
税務署側 職員2名
(上席 権野40歳)
(調査官 田中正弘)
潟梶[マン工務店は、清水市内で大手チェキスイホームの住宅建設の下請けを行なっている。従業員は30名、外注先は50社以上ある。
調査官 田中正弘は、潟梶[マン工務店の仕掛工事(未完成工事支出金)の在庫の計上漏れを見つけた。
チェキスイホームを住宅展示場でお客さんが選び、住宅の完成引渡しが行なわれるとお客さんはチェキスイホームに現金を渡す、ほとんどの場合はお客さんが銀行で住宅ローンを組んでそのまま銀行からチェキスイホームに支払われる。
潟梶[マン工務店は住宅が完成しチェキスイホームの検査が通るとチェキスイホームに請求書を送る。
チェキスイホームはお客さんから入金があった翌月15日に潟梶[マン工務店にお金を振り込むことになっている。
潟梶[マン工務店はチェキスイホームから入金があった翌月の末日に外注先50社に
半金半手(工事代金が200万円なら振込みですぐ100万円、3ケ月先の100万円の手形を発行する方法)で支払う。
潟梶[マン工務店は3月決算、4月にチェキスイホームに請求した工事の外注費は仕掛工事になる。
潟梶[マン工務店にはしっかりした工事台帳(原価管理表)が無い。
決算の時に決算月をまたぐ工事台帳(原価管理表)のみ作成している。
作成は経理担当の課長が行なっている。手書きの工事台帳でいい加減な感じ。
調査官 田中は、2月・3月の外注先からの請求書と、4月にチェキスイホームに請求した工事を突合し合計2000万円もの仕掛工事の計上漏れを見つけた。
(調査官 田中正弘)
「経理課長さん、仕掛工事の計上漏れがかなりあるようですが、どなたが作成した書類ですか?」
(経理課長)
「私が作成しました」
(調査官 田中正弘)
「10件ほどの工事でほとんど仕掛工事の計上漏れがあると思われますが、社長さんの指示で意図的に少なく計上しましたか?」
(経理課長)
経理課長は右手を小刻みに震わせ、顔面が悪い
「自分の判断で仕掛工事の計上は行なっています…・・・・」
(調査官 田中正弘)
計上漏れが合計2000万円になりますので大きすぎませんか?本当のことを一筆書いてもらえませんか?
経理課長は右手をさらに震わせ、顔面蒼白、唇が紫色になっている
「ただ、仕掛工事の計上漏れが合計2000万円と大きいので、意図的じゃなく、本当に、社長の指示でもなく、ただ間違えただけですと書いてもらえますか?」
経理課長は紙に顛末を書こうとしたが右手が震え、顔も震え、その場で倒れこんでしまった…
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