印紙税 税務調査の始まり!
(調査官田中)
田中は次の日、もう少し確認したいことがあるので、あと半日伺いたい旨をみちこDONDONの社長に告げた。
みちこDONDONの社長は、田中が若い調査官なので舐めきっていた。
(みちこDONDONの社長)
「どうぞ、どうぞ、いらして下さい」
「でも何回来てもらっても、うちは何も間違いないわよ!」と言った。
10月15日 午前に再度調査を行なった。
調査官田中は再度金庫の中を見せてもらった。
中身はほとんど変わっていない。
収入印紙も200円の印紙が10枚ほど
@ 統括官の指示通り、現金で受け取った売上の領収書の控えを拾い出した。
高級ブティック「みちこDONDON」のお客さんは、クラブのママさんやモデル、芸能関係者、そして彼女達のパトロンがかなりいる。
当然金額は、3万円を超えるものばかりだった。
お客さんは、高級ブティック「みちこDONDON」で買ったものを自分の申告の必要経費にしている。このため領収書を求めるお客さんは多かった。
(調査官田中)
社長さん、領収書の控えから計算すると1ケ月に3万円以上の領収書が50枚以上は発行されていますね。
(みちこDONDONの社長)
「あらそうだったかしら、でも全部売上にあがってるでしょ」
「なーんにも、ごまかしていませんわよ!」
(調査官田中)
1ケ月で50枚として、1年で600枚、3年だと1800枚の領収書を発行していますよね。
そしてレジの控えから見ると、レシートの金額のほとんどが3万円以上ですよね。
レシートの方は、1ヶ月で300人以上のお客さんに渡していますよね。
お客さんも高価な洋服を買うんですから、買った後に不具合があったらこまるのでレシートはもらっていきますよね。
(みちこDONDONの社長)
「えーそーだと思いますけど、それが何か?」
(調査官田中)
領収書とレシートは同じ扱いになるんです。レシートも立派なお金の受渡しがあったことを証明する文書で、「領収書」として通用します。「収入印紙を貼るのは領収書だけで、レシートには印紙税はかからないのでは?」と誤解されていませんか?
それに、収入印紙の購入の記録から見ると、ここ3年で15万円しか購入されていませんよね。少なすぎませんか?数量が合わないですよね?
領収書の控えから考えても、半分以下ですよね。
印紙税の罰則はとても重くなっていますよ。税務調査で見つかった場合は、本来の印紙 税の3倍の税金(過怠税)を納めなければならないことになっているんです。
つまり、レシートを毎月300人のお客さんに渡している場合、1年で3600人、3年で10800人。
これに200円の印紙を貼っていなかったとすると10800×200円×3倍で、
648万円の納付になりますね…
(みちこDONDONの社長)
648万円と聞いて社長は急に態度を変えた!
「田中さん、なんとかしてください、これから徹底して気をつけますので」
「今回だけは、おまけしてちょうだい!お願い!」
(調査官田中)
「おまけしてちょうだい!お願い!」って言われても、洋服を買ってる訳じゃないんですから…
「上司と相談してきます」
(統括官)
印紙税に推計課税の規定は無い、しかし3年で15万円しか納税していないことは事実だと推定される。そうだとすれば200万円以上の課税漏れになっているんじゃないか?
収入印紙を貼るのはいつの時点か?
本当に相手にレシートがすべて渡っている確証は無い。
責任者も反省しており、レシートの件に関してはおそらく知らなかったと思われる。
(調査官田中)
結論が出た、
今回は自主的に「印紙税不納付事実申出書」を出させて納税してもらうことになった。
月300人×12ケ月×3年×200円÷2 と言うことで約100万円の納付と
本来の印紙税の1.1倍の税金を納めてもらうことになった。 |